アイマスとやきうしか知らないオタク、オルスタへ行く

誘われたので「Run Girls, Run!」(以下、RGR)のライブに行った。

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もともと仲間内でよく話題になっており、興味を持っていた現場ではあったので、まあものの試しに行ってみようか、と社会科見学の感覚で足を運んだ。参加したライブはオールスタンディング(オルスタ)形式らしい。つまり座席がないし、なんだったら床に荷物を置くこともできない。かつて足を運んだことのあるライブ(アイドルマスターSideM、およびTHE ALFEE)とはかなり異なる。またアイマス現場ではご法度とされるMIX行為やコールも特に禁則事項がないらしく、なんだか異世界に入っていくような感じだった。

会場は渋谷のセンター街の少し奥にある。酷暑の中タピオカミルクティーの店舗に並ぶ長蛇の列、意味の分からないところで立ち止まりセルフィーする外国人観光客、道端で朽ち果てるドブネズミの亡骸など渋谷特有の景色を横目に会場に着くと、既に入場待機している参加者が数多くたむろしていた。参加者の服装は概ね他のオタクライブと乖離は感じ取れなかった*1。渋谷の街には似つかなかったが。

会場に入りドリンク代と引き換えにぬるいミネラルウォーターを引っ掴むと、椅子やらテーブルやらが何も置かれていない*2空間に通され、とりあえず前へ詰めろと言われた。ステージと柵を隔てた客席らしきスペースしかないような空間にオタクが詰め込まれていく。最終的に人口密度は朝の通勤ラッシュに匹敵するくらいになった。圧迫である。これは身だしなみや体臭にかなり気を使わなければ顰蹙を買いかねないと思った。俯瞰してみると400〜500人の参加者が公民館くらいのスペースに押し込められた構図になっているらしい。頼むから火事や地震は起きないでくれと願っていた。

入場してからライブの開始までは30分〜1時間を要した。流石に大人数の入場整理に時間はかかる。ただこの待ち時間も「座って待つ」ということができなかったので大変きつい。足首に爆弾がある*3自分が身体を休めるにはしゃがむか、無理やり床に座るかしかなかった。当然周りは朝の石神井公園めいた混雑っぷりであるため身動きも取れず、この時間が一番しんどい。

ただ、いざライブが始まるととても楽しかった。特にコール・サイリウムなどの制約(この曲のここはこのコールを入れるべき、この曲のサイリウムはこの色とすべき等)がきついとは感じ取れなかったし、MIXは基本的に許容されていた。自由度が高く無法地帯感も少しあったのは否めないが、個人的に常軌を逸していると感じたものもなかった。とにかく楽しかったのと、エキサイティングだった感覚のほうが強い。ジャンプは禁止行為とされていたらしいのだが、明らかに跳んでるオタクもいた。彼らは修行の成果のおかげで空中浮揚していたということにしておこう。ただ着地時に足を踏まれやしないかと不安ではあった。足元が暗くてよく見えなかったし。

メンバーのパフォーマンスもエネルギッシュでキレがあった。気がついたら厚木那奈美を目で追っていた*4。ライブハウスという距離感もそうさせてくれたように思える。RGRは2周年を迎えたとのことで、これからもっと練度を上げて、ファンの数も会場の規模も大きくなっていくと思う。案の定オタクからCDもらったので、次のライブに参加する機会があったら少し予習してから行ってみたいなと思った。長く続いていくコンテンツになってほしい。

オルスタ特有の文化?というものにも触れた。客席上に特に定位置が指定されていないため、周りが許しさえすれば前進して最前列まで行くことも可能、というふうに感じ取れた。つまり全員が守備シフトを自由に敷ける(?)。何人か後ろから身体をぶつけられ驚きはしたけど、割とすぐに「ここはこういう場所なんだな」ということですんなり受け入れている自分がいた。多分「前に出たがる他人を認める代わりに、自分が前に出る権利も有している」みたいな考えのもとにある文化なんだと思う。現場も違えば文化も違う。同じオタクがひしめくライブでも千差万別、まるで違う国のようで、どれが正しいとか絶対的なものはないんだろう。MIXも「あ、こういう感じなのね」という実地研修みたいな体験ができたのは貴重だった。YouTubeでしか聴いたことのない応援歌を球場で聴いた感じだった。

以前行っていたような現場ではとても行えない行為がいともたやすく行われていたので、とても新鮮で、かつ楽しむことができたライブだったと思う。ただし2時間弱のライブを立ちっぱなしで昼夜両方参戦するのはきつかった。ここはやはり迫りくる年齢を感じるところである(参加者のうち30代はみんな翌日ダメになっていた)。中にはTIF*5から回してきて昼夜参加するツワモノもいたらしいが、とても自分には体力が持ちそうにない。そんなことをこなしてしまう彼らは、多分風俗でも3回戦までやるんだろう。

この記事はあまり時間が経たないうちに書けてよかった。

*1:ちなみに連番したオタクは森嶋優花さんのファンがセレッソ大阪森島寛晃厚木那奈美さんのファンがジュビロ磐田名波浩のユニフォームを着ているなどしていましたが、彼らはかなり特異な部類に入ることを補記しておきます

*2:後方にテーブル席がないわけではなかったが、多分別枠

*3:余計な骨が付いていて、立ったり歩いたりすると痛む時がある

*4:あとから「やっぱりそうですよね」と言われた。理由は伏せておく。

*5:TOKYO IDOL FESTIVAL