甲子園交流試合で印象に残った選手

高校野球(甲子園)はドラフトでプロ入りが噂されるような選手を中心に、少しばかり(気が向いたら、決勝戦を見るくらい)しか見ていなかった。だが、今年の交流試合は週刊朝日の特集雑誌を購入して2~3試合くらいを真剣にテレビで観戦してみた。

普段見ているプロ野球とアマチュア高校野球というカテゴリの違いはあるが、やはり青空の下で白球を追うのを見たり、心地よい打球音を聞いたりするのは気持ちがいい。

真剣に見た試合の中では、例えば明石商業vs桐生第一の試合はなかなかドラマチックな試合展開であった。明石商の中森くん・来田くんはプロのドラフトでも上位指名が噂されており、その2選手を擁する明石商が有利かと思われたが、桐生第一ナインが粘りを見せてスコアは僅差のまま推移、9回には1点差まで追い上げるなど白熱した試合だった(最後は中森くんが踏ん張った)。

他にも終盤の大事な場面で打線が繋がりだしたり、同じような場面で守備にエラーが出たりと、「甲子園の魔物」の存在を感じさせるシーンは数々あったと記憶している。甲子園は内野が土のグラウンドゆえ、打球のイレギュラーなどの不測の事態も起こりやすいのだと思う*1

一方で、今大会の注目カードといえる大阪桐蔭vs東海大相模の試合はまた違った趣があった。まず選手の身体が他の出場校と比べ大きく、がっしりとしている*2。もちろんプロ注目の選手も複数人在籍しており、実際にプロのスカウトもテレビ越しにじっくりと観察していたことと思う。

ここまで来ると高校球児同士というよりはアスリートの試合である。プレーのレベルも素人目ながら高いものを感じたし、なにより他の試合よりミスが少ないように見えた。まるで甲子園の魔物は涼しい部屋で朝寝坊をしているかのようで、姿を見せることはなかった。この2校と履正社は、春の選抜大会が行われていた場合でも優勝を争うチームとなったのだろう。

先述の中森くん・来田くん、他には東海大相模の西川くん、大阪桐蔭の西野くん、それから中京大中京の高橋くんのように、プロ野球のドラフト候補間違いなしの好選手は個人的な興味を刺激するものであるが、テレビの向こうの勇姿を見る中で一人すごく印象に残った選手がいた。倉敷商業のショートを守る、主将の原田くんである。

www.nhk.or.jp

彼に注目するきっかけとなったのは、プレーではなく試合後のインタビューだった。真っ直ぐ前を見据て、言い淀みなく記者の質問に対応している姿に目を見張った。テレビカメラの前で緊張するだろうに、そこらへんの大人より立派な応対だなと思った。それでいて彼の言葉は仲間を立てる謙虚なものであり、奥ゆかしさを感じる。上記のURLから見ることのできるインタビューも立派な姿勢で応対しており、こういう人が生徒会長とかをやるのだなと勝手に思っていた。

ショートというポジションを考えると、ドラフトの指名では入江くん(仙台育英)、中山くん(中京大中京)らがやはり先に名前が出ることになるのだろうが、原田くんの真っ直ぐで謙虚な姿勢は、きっとプロに行ってもいい方向に働くと思った。たとえプロからの指名がなかったとしても、大学でも社会人といった次のステージできっと結果を残せるようになると信じている。

いやいや、プロ野球との接点というところにこだわらずに見てみると意外な発見や出会いがあるものだと思った。

来年は沢山の観衆が入った甲子園で、選手たちの姿を見てみたい。
(でも、とても暑くなりそうである)

*1:今回は無観客試合であったが、観客の声援というものも「何かを起こす」には十分な材料となるのだろう

*2:大阪桐蔭に至っては一番身体が大きいのは西谷監督なんだけれども