【観戦記録】6/8 ○Marines-Giants● (東京ドーム)

野球ファンなら誰しも、「読売ジャイアンツ」というチームに対して、自分の贔屓球団以外の10球団とは違う特別な考えを持っていると思う。殊にパ・リーグのチームのファンは、1年でたったの数試合の交流戦でしか実現しない巨人戦というものに対して、ただならぬ思いがあるのではないだろうか。

少なくとも、自分にはそういうフシがある。幼い頃のイメージで、テレビの中でやっている野球はすなわち読売ジャイアンツ戦だった。松井秀喜が、高橋由伸が、清原和博が、上原浩治がいた。あと生前の祖父に「これじゃカステラじゃなくてカスだな」とdisられていたカステヤーノがいた。

そんなテレビの向こう側だったチームが、目の前の対戦相手となった試合。
ここ数年の観戦の記憶を彼方へぶっ飛ばす、感情がぶち上がる一戦を見ることができた。

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9回表、ジャイアンツはクローザーに抜擢された中川を送り1点リードを死守する構えを見せたが、先頭の岡がいきなり二塁打を放つ。続く荻野はバント。ここまでは「よくて同点、そして裏にホームランでひっくり返されるだろう」くらいの予感しかしていなかった。レアードが死球の影響で途中交代、井上もコンディション不調で試合に出られず、もはや打線は飛車角落ち、浦和球場の再現となってしまっていたからだ。特に相手チームとの5番以下の打者の戦力差はあまりにもグロテスクなものだった。恐らく年俸で比較すれば「0」の数で差をつけられていただろう。

ところが、ここで1年に1回くらい恐ろしい勢いで繋がりだすマリーンズ打線が火を吹くことになる。大地がライト前に執念で安打を放ち同点、続く清田は凡退するも、途中から4番に入った香月が土壇場からヒットで繋ぐ。強打を期待されながらも一軍の壁にぶち当たり続けていた香月のヒットを皮切りに、レフトスタンドの黒い集団のボルテージは一層上がってゆく。これまでの鬱憤を晴らすかのような声援、チャンステーマがこだまする。

5番中村奨吾が試合をひっくり返すタイムリーを放つと、もはや自分を含めたその集団は盆と正月とサンバのカーニバルが一緒に来たようなどんちゃん騒ぎであった。勝手に叫び声が出る。周りの全く知らない人たちとハイタッチをする。「野球観戦の正しい楽しみ方」という教科書で勢いよく殴りかかるような情景であった。

続く菅野も2点タイムリーを放ち(個人的にはこれが一番大きかったように思う)、2-3で迎えた9回表は6-3と180度違った様相を呈するものとなった。そして9回裏、3点リードをもらった益田が2点取られて試合終了(コバマサイズム…?)。東京ドーム+ジャイアンツ打線はどこからでもホームランが出るから怖い。胃の中のビールとハイボールがすべて飛び出てきそうな展開であったが、東京ドームの試合で久々に勝利を収めることができたのだった(いつもはホームランを打たれまくって負けている)。

なぜ勝てたのか?今となって冷静に見てみると、先発の土肥が5回をソロホームランの2失点で凌いだこと(連打こそされたが、失点には至らず踏ん張った)、唐川、田中靖が無失点リリーフで望みをつないだことなどが挙げられるが、9回になぜあれだけ打線がつながったか、これだけが解せない。勝ちに不思議の勝ちありとはよく言ったものだな、と思った。

ちなみに

ここで1年に1回くらい恐ろしい勢いで繋がりだすマリーンズ打線

昨日(6/16)の試合も、9回裏に恐ろしい勢いで打線が繋がり、やはり鈴木大地が執念でライト前に運びサヨナラとなったのだった。1年に1回じゃなかった。

なんだか交流戦に入ってから「9回で本気出す」ような勝ち方が多いような、そんな気がする。先発ピッチャーも勝ちパターンのリリーフもピリッとしない中、同点~ビハインドを投げるピッチャー(チェン、ブランドン、田中etc)は総じて成績が良いことから、ビハインドはビハインドでも「なんとかなる点差」のまま終盤に突入することが多くなっているのではないか?それにしたって昨日は5点差だったわけで、本当にこのチームの打線はよくわからない。

ちなみに交流戦は4カード連続の負け越し、次がビジターでカープ戦なので、今から嫌な予感しかしません。中日→広島→ヤクルトの9試合を2勝7敗と見積ってはいるのですが、流石にこれは上回ってよ…?