入渠してきました

会社から早くしろと言われたので、あまり乗り気でなかった健康診断を受けることにした。

と言っても、自分は一定の年齢を超えてしまったので、正確には健康診断でなく人間ドックということになる。これがまた憂鬱さを加速させる。バリウムを飲まなければならないからだ。

バリウムについての事前知識は会社の大人たちが伝授してくれた。「ゲップが出るとやり直し」「味がしなくて苦痛」「水を飲むこと。腹の中で固形化すると大変」など、とにかく面倒なものだ。だからこそ、会社経由の診断の申し込みに二の足を踏んでしまっていた。

診断場所は自宅近くの診療所*1を選択。以前インフルの予防接種を受けた際に訪れたことはあるのだが、その時とは別のフロアに通された。中はびっくりするくらい綺麗で広かった。予防接種の時の待合室はすごく狭かったので、空間が歪んでいるような感覚に見舞われた。ただ、自分の頭の中の「健康センター」のイメージとそれほど離れてはいなかった。そして他に健診を受ける人がわんさかいた。

採血、血圧、身長と体重測定、やたらと時間のかかった腹部エコー*2などを終わらせ、いよいよバリウム(腹部X線)の部屋へ。診断自体は終盤に突入といった頃合いだろうか?

まずは機械の板状の部品が壁のようになっている箇所に背をつけて立たされ、発泡剤を飲まされる。なんだか酸っぱくて、ソーダ水の泡だけ飲んでるような感覚だ。その後に真っ白い物質(まぁ、それがバリウムなんですけどね)で7〜8割満たされたコップの中身を2段階に分けて全て飲み込む。飲みやすいようにほんのりイチゴ風味はあるが、甘めの薬を飲むのとそれほど変わりない。

担当の看護師が機械を操作すると、自分が背中を預けていた機械が後ろにゆっくりと倒れ出す。身体の向きを変えて飲み込んだバリウムを身体全体に行き渡らせるためらしい。先ほど背中をつけていた壁は、さながらベッドの床といった役割を果たす。冷たくて固いという1点を除いては。

その冷酷なるベッド、かつて壁だったものは前後左右にゆっくりと動いてゆく(様々な角度から検査をする必要があるから?)。時に自分の頭を下にした斜めの状態で静止することもあったが、この時は自分の身体が頭から滑り落ちないように、左右の手すりを掴まなければならない。腕力に乏しいうえに滑りやすいベッドで体勢を維持するのは一種の筋トレをしているようで、なかなかキツい。

一番しんどかったのは壁ベッドの上で横向きになる時だ。固い面の上であるため、身体が痛いったらありゃしない。そのくせ「もっと横を向いてくれ」「今度は逆向きで斜め」と看護師から依頼が飛んでくる。加減が分からず大いに苦労した。最後に機械で腹部に圧力をかけられ(なんのためにやる検査なのか忘れた)、10分程度で終了した。

検査終了後は下剤を2錠渡された。バリウムは消化されないらしく、固まらないように出してやる必要があるからだ。毒々しいピンク色の錠剤を飲み込んだあと、視力と聴力の検査をして人生初の人間ドックはすべての検査が完了となった。帰りに商品券が手に入った(健診料は組合負担で無料だった)。

なーんだ、胃カメラ(4年で2回受けたこと有り)に比べたら天国じゃないか。そう思って帰宅したが、6時間後くらいに下剤が効いてきてお腹が痛くなったので、当日仕事はしないほうが良いなと思った(自分は土日に行きました)。ただ、総評すると胃カメラバリウムだったら、自分はバリウムを選びます。

今となってはバリウムより診断結果のほうが怖いね。

*1:といっても電車に乗る必要はある

*2:悪いものが見つかっていないと良いのだが