気まぐれ温泉、休養のヒントを得る

西武秩父駅前の「祭の湯」へ、電車で1時間位かけて行ってきた。

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道中は特急を使ったのですごく快適に旅をすることができた。やってきた車両が西武鉄道の新型特急車両「LaView」というやつであり、側面の大きな窓が特徴的だ。窓際の席に座ると駅のホームから丸見えになるので、酒を飲みながらふんぞり返る際はカーテンを適宜閉めておくと良いなと感じた。

飯能からスイッチバックして西武秩父線に入ると、そこからは未知の領域だ。沿線の風景は完全に山の中といった趣になり、線路も単線に切り替わる。本当にここは埼玉県なのだろうかと錯覚してしまう。

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西武秩父駅に着くとお腹が空いたので、祭の湯併設のフードコードでランチをいただくことにした。

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そこで選んだのが「姫豚わらじかつ丼」である。スマートフォンと同じくらいの大きさのトンカツが2枚鎮座しており、なかなかボリューミーだ。注文した品を受け取った瞬間、「これは食べ切れないのでは?」と自分の選択を少し後悔した。ただ、間違いなくうまそうだ。

食べてみるとカツにはそれほど厚みはなく、さくさくとして美味しい。このメニュー、「カツ丼」ではあるが写真の通り卵が落ちておらず(取り調べで出てくるカツ丼とは少し違う)、カツが甘じょっぱいタレに浸かっている。地元新潟でも有名な「タレカツ丼」と近い味であり、とても美味しく完食することができた。なかなか満足感も高く、良いランチである。

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その後は「祭の湯」の本体たるエリアへ移動する。ここからは入湯料がかかり、途中の入退場はできなくなる。早速汗を流すこととする。

浴場内は数種類の湯がある。炭酸風呂(やや身体がビリビリする感覚を感じる)やジャクジーなどがあり、普段じっとするのが苦手で風呂もすぐにざぶんと出てしまう自分でも飽きが来ない。数分入っては出て身体を流し、また別の湯に入るというのを繰り返しているだけであっという間に時間が過ぎていく。贅沢な空間である。

当日は天気にも恵まれ(帰りは雨だったが)、露天風呂を楽しむこともできた。

屋外では、日光・自然音・水の音・木の香り・湯の温度など、五感をなるべく使って過ごしてみた。日々の不安や過去の後悔から、意識が今現在に戻ってくるのをかすかに感じた。以前に「マインドフルネス」という考えを勉強したことがあるが、それに近い体験ができたように思う。とても心が落ち着いてきたし、今後もこうすれば心身が休まるのかもしれない、と気づけた。

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サウナもあったので、Twitterのフォロワーにあやかって挑戦してみた。ところがこれがすごく暑い(温度が高めのサウナだったのだろうか)。座るポジションを変えてみたが逃れられず、なんだか足の裏もジンジンしてやけどしそうになる。結局5分もしないうちにギブアップした。

このあと汗を流して水風呂に浸かると「整う」ということをネットではよく見かけるが、心臓に負担が掛かりそうなので手足に軽く水をかけるだけに済ませた。これだけでも、頭の数十cm上でふわふわしていた意識が顔に向かって降りてきてバチッと貼りつくような感覚を得られたのだが、これが「整う」という領域の一丁目なのであろうか。

サウナにおいては「暑い」という感覚に身体が支配されるため、さっき書いた五感とかマインドフルネス的にはいい環境なのかもしれない。実際、サウナ後に外気にあたると安らかな心持ちになっている気がしていたし、五感もより研ぎ澄まされたような気がする。普段頭を使いすぎてロジカルに偏っているので、少しくらい五感に寄せるくらいが丁度いいのかもしれない。

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その後、リラクゼーションスペースでくつろいだ後、マッサージのサービスも受けてみた。実はここに行く前日に肩や首のマッサージはしてもらっていたので(いかに気まぐれにこの旅を決めたかがわかる)、今度は膝から下を中心に施術してもらうことにした。値段は一般的といった程度である(前のブログで紹介したところよりは安い)。

風呂で血行は良くなっているのでマッサージが効かないはずはなく、とても気持ちのいいものであった。施術後にはマッサージ師から身体の悪い箇所を教えてもらえるのだが、曰く「首・肩・腰・腸・自律神経」に問題があるという。やれやれ、自分の身体は万全な箇所を探すほうが面倒なのかと呆れてしまったが、ここにまた来ようと決意を新たにするのだった。

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この旅では、温泉(特に露天風呂)に浸かりながら五感を研ぎ澄ませる経験をすることで心を安らげることができる、ということに気づくことができた時点で、なんとなく人生を送るヒントを得られたように感じた。そういった意味で何も考えなしに行った割には意義のあるものであった。たっぷりと体を休め、安らかな眠気を得ることができた。

次回は岩盤浴なども体験したいと思ったが、思ったより人が多かったので、連休中などはある程度の混雑も覚悟したほうがいいかもしれない。ただ自宅からの行きやすさはメリットであるため、再チャレンジする日に関しては少しばかりの工夫をすればいいか。

もっともこの施設で宿泊はできなさそうなので、今度は秩父の温泉宿でぼーっとするだけの旅もしてみたいと思った。たまにはちゃんとしたお風呂に入るのもいいものだ。このブログでバズっている高いお風呂よりは遥かに安上がりだし。

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